タイトル画像:国民健康保険の免除

国民健康保険料(税)の計算

保険料は世帯ごとに前年所得で計算される
 国民健康保険料は、前年度の所得等によって計算されます。そのため、失業等により収入が途絶えると、収入がないのに高額な保険料を支払うことになりますが、翌年度の保険料は少なくなります。
 国民健康保険料は、医療分保険料、後期高齢者支援金、介護分保険料(40歳以上〜65歳未満)の合計額で、健康保険加入者の人数と所得金額や固定資産税額をもとに世帯単位で計算されます

一世帯あたりの保険税額
 保険税の総額を次の4つの項目に割り振り、それらを組み合わせて一世帯ごとの保険税額が決められます。自治体によって、項目の組み合わせは異なります

・所得割:世帯の所得に応じて計算
・資産割:世帯の資産に応じて計算
・均等割:世帯の加入者数に応じて計算
・平等割:一世帯当たりの額

 資産割については、様々な問題点(注1)もあり、近年では、資産割を廃止する市町村もあり、資産割のない市町村が多くなっています。

 平等割のない市町村も少数ですがあります。平等割がないとその分、均等割が高くなり、結果として、人数が多い低所得世帯では保険料の負担が特に大きくなります。平等割のない市町村には、たとえば、大阪府守口市があり、医療分と支援金分を合わせた均等割は、51,600円(平成20年度)となっており、4人家族では均等割だけで20万円を超えます。ちなみに、守口市に近い大阪高槻市は、均等割が安く8,852円、平等割が高く64,806円(平成20年度)となっています。

 所得割には、「住民税方式」と「所得比例方式(旧ただし書き方式)」がありますが、98%の自治体が旧ただし書き方式を採用しています。

注1)資産割の問題点とは、
・高齢化が進み自宅のみの資産を所有している世帯の増加(収入を生まない資産なのに保険料を払わなくてはならない)
・アパートやマンション経営など利益を得る資産では、所得割でも保険料を算定されるので、資産割と重複している)
・法人所有の資産や市町村外の資産には算定されないので不平等
・共有資産の場合には持ち分の特定が難しい

住民税方式

 数少ない住民税方式は、東京23区、横浜市、名古屋市、神戸市など大都市圏を中心にあります。住民税方式の保険料は、市民税や町民税に対して、所得割料率を掛けて計算します。住民税は、収入から各種控除額を引いて計算されますから、低所得者の保険料負担が軽くなります。しかし、税制変更の影響を受けやすく、市町村の対応が煩雑になるため、所得比例方式に変更する自治体が多い状況であり、東京23区も数年後に変更になるそうです。(近年、旧ただし書き方式に移行した自治体には、四日市市(平成20年度)などがあります)

旧ただし書き方式(所得比例方式)

 所得比例方式は、総所得金額から基礎控除額(33万円)を引いた基準総所得金額に保険料率を掛けて計算されます。
 なお、基準総所得金額と表記する市町村の他に、課税総所得金額、課税基準所得、所得割賦課標準額、などと表記する市町村もあります。

基礎控除について
 複数の世帯員にそれぞれ収入がある時は、それぞれ基礎控除を差し引きます。なお、2つ以上の収入がある人の場合でも、基礎控除は33万円のみです。たとえば、夫が年金収入とアルバイト収入、妻がパート収入だとすると、世帯の基準総所得金額は、次のようになります。
 夫の年金所得 + 夫の給与所得 − 33万円 + 妻の給与所得 − 33万円

総所得金額について
 総所得金額とは、収入から必要経費(給与所得控除、公的年金等控除など)を差し引いたものです。なお、退職所得は含まれません。
 注意すべきことは、住民税と違って、旧ただし書き方式の国民健康保険の計算では、各種所得控除(扶養・配偶者・社会保険料控除・生命保険料等)の適用がありません。
(注意!)
 課税所得金額には分離譲渡所得(土地・株等の所得)も含まれます(確定申告をした場合)。上場株式の譲渡所得は、源泉徴収の場合は健康保険料の算定対象になりません。しかし、確定申告を行うと合計所得金額に加算されるため、国保税の算定対象になります
給与収入
基準総所得金額は、
 給与所得(給与収入金額−給与所得控除額)−基礎控除(33万円)

給与所得控除額
給与収入
(源泉徴収票の金額)
給与所得控除額
180万円以下 給与収入×40%
※65万円未満のときは65万円
180万円超〜360万円以下 給与収入×30%+18万円
360万円超〜660万円以下 給与収入×20%+54万円
660万円超〜1,000万円以下 給与収入×10%+120万円
1,000万円超〜 給与収入×5%+170万円
 なお、給与所得控除額は、給与収入が660万円未満の場合は、簡易給与所得表より求めることになっており、上表による計算では誤差が生じることがあります。

たとえば、年収250万円の時の給与所得控除額は、
 250万円×30%+18万円=93万円
となり、給与所得は250万円−93万円=157万円。
国保の基準総所得金額は、157万円−33万円=124万円となります。

年金収入
基準総所得金額は、
 公的年金等の収入金額 - 公的年金等の控除額 - 基礎控除33万円

公的年金等控除額 (平成17年分以降)
受給者の年齢 公的年金等の収入金額の合計額
(A)
公的年金等控除額
65歳未満の人 130万円未満 70万円
130万円以上 410万円未満 (A)×25%+375,000円
410万円以上 770万円未満 (A)×15%+785,000円
770万円以上 (A)×5%+1,555,000円
65歳以上の人 330万円未満 120万円
330万円以上 410万年未満 (A)×25%+375,000円
410万円以上 770万円未満 (A)×15%+785,000円
770万円以上 (A)×5%+1,555,000円
※ 年齢の判定は、その年の12月31日の年齢によります

たとえば、65歳未満で公的年金収入が250万円の場合、
 公的年金等控除額=250万円×25%+375,000円=100万円
 総所得金額は、250万円−100万円=150万円
 国保の基準総所得金額は、150万円−33万円=122万円となります。

事業収入
基準総所得金額は、
 事業収入 - 必要経費 - 繰越純損失 - 基礎控除33万円

国民健康保険料の試算・計算 大阪市を例にして

 大阪市の保険料は、98%の市町村が採用している「旧ただし書き方式(所得比例方式)」で計算します。なお、大阪市の国民健康保険料は、全国の都道府県庁所在地の中では高いほうです。
 保険料は、医療分保険料、後期高齢者支援金分保険料、介護分保険料で構成され、介護分保険料は40歳以上64歳未満の方がいる世帯のみです。
 保険料の計算では、世帯ごとの「平等割」、国保の加入者人数に応じた「均等割」、所得に応じた「所得割」の3つの項目があります(大阪市には資産に応じた「資産割」はありません)。

大阪市の国民健康保険料率 平成20年度
所得割
(%)
資産割
(%)
均等割
(円)
平等割
(円)
限度額
(万円)
医療分 8.4 - 20,438 36,044 47
後期高齢者支援金 2.1 - 5,434 9,583 12
介護分 1.8 - 5,991 7,484 9

計算例 平成20年度の国民健康保険料の計算
 夫婦と子供2人の4人世帯で、夫(40歳未満)はサラリーマンで平成19年の年収は300万円、妻(40歳未満)はパートの年収150万円で、世帯全員が国民健康保険に加入しているとします。

所得割は、前年中の基準総所得金額に所得割率を掛けて計算します。基準総所得金額は、夫、妻ともに給与収入なので、

 給与所得(給与収入金額−給与所得控除額)−基礎控除(33万円)

夫の基準総所得金額:300万円−108万円−33万円=159万円
妻の基準総所得金額:150万円− 65万円−33万円= 52万円

医療分
所得割額 1,590,000円 × 8.4% 133,560円
  520,000円 × 8.4% 43,680円
均等割額   20,438円 × 4人 81,752円
平等割額   1世帯につき       36,044円
医療分合計(100円未満切り捨て) 295,000円

後期高齢者支援金
所得割額 1,590,000円 × 2.1% 33,390円
  520,000円 × 2.1% 10,920円
均等割額   5,434円 × 4人 21,736円
平等割額   1世帯につき       9,583円
後期高齢者支援金合計(100円未満切り捨て) 75,600円

 国民健康保険料は、医療分295,000円と後期高齢者支援金75,600円を合わせて370,600円となります。

 次に、夫婦(ともに40歳未満)と子供2人の4人世帯で夫婦のどちらかに給与収入がある例として、年収を変えて計算してみました。なお、所得額が、「33万円+35万円×被保険者数」以下の場合は、2割が減額されますので、4人世帯では所得173万円以下なら2割減額となります。5割減額は、33万円+24万5千円×世帯主を除く被保険者数なので、所得106.5万円以下。7割減額は、世帯の人数にかかわらず所得33万円以下です。

大阪市の国保料(4人世帯)
(平成20年度) 単位:万円
給与所得 給与収入 国保料
100 167 5割減額
150 240 2割減額
200 311 32.4
250 380 37.7
300 443 42.9
350 505 48.2

 次に単身世帯で給与収入の人(40歳未満)で計算しました。

大阪市の国保料(単身世帯)
(平成20年度) 単位:万円
給与所得 給与収入 国保料
100 167 14.2
150 240 19.4
200 311 24.7
250 380 29.9
300 443 35.2
350 505 40.4

計算の考え方
次のような5人世帯では、どのような計算の考え方となるかといえば、
 Aさん、70歳、世帯主、所得なし
 Bさん、40歳、給与所得
 Cさん、40歳、給与所得
 Dさん、20歳、給与所得(社会保険に加入)
 Eさん、17歳、所得なし

Dさんは国保ではないので、この世帯の均等割は4人分となり、所得割はBさんとCさんの所得で計算します。世帯主のAさんには所得はありませんが、国民健康保険料の納付義務者は世帯主なので、Aさんに請求されます。

 保険料は自治体ごとに違いますので、大阪府や東京都内の自治体などで比較してみました
 また、参考までにネット上で簡単に試算できる自治体や計算例もご紹介しておきます。

試算
武蔵野市:住民税方式。住民税の試算もできます。
横浜市:住民税方式
福岡県水巻町:所得比例方式

計算例
明石市:夫婦と子供1人の3人世帯で、夫の年金収入250万円、子の給与収入200万円、固定資産税額3万円の場合
冨里市:夫41歳、妻39歳、13歳の子供の3人家族。夫の給与収入が500万円、妻のパートによる給与収入が148万円ある場合